追善茶会 道具持ち寄り開催で木工品製作 敷板、釜敷、釜据 クロモジや盃の焼き印


作品紹介

作品名
追善茶会 道具持ち寄り開催で木工品製作 敷板、釜敷、釜据 クロモジや盃の焼き印
材質
桐 朴 杉 桜 パープルハート 黒柿
使用した道具
トリマル君 トリマー 大型クランプ
作品コメント
 昨年亡くなった旧友を偲ぶ茶会を、別の友人宅で行う事になり、提供される更に別の友人ご母堂の愛用茶道具を軸に、不足物や旧友を偲ぶ道具を各自の背伸びしない範囲で持ち寄る事にしました。先ずは『5本の茶杓』と『瓢箪茶入れ2本』を新造しましたが、ほかに表道具としては風炉の敷板を、水屋道具としては板釜敷と釜据を製作することになりました。また、菓子に付けるクロモジや、食事会の際の献杯用盃は、参加者全員に配るものであるため、故人にちなんだモノにしたいと考えました。
 風炉の敷板は様々に寸法は異なりますが、ここでは裏千家寸法を準用し、桐の集成板の四方に桐の木口板を貼って、それに塗装を施す製作を行いました。正式な塗りは、鏡面の様に仕上がる黒漆の真塗ですが、カブレへの懸念と多くの回数を要する塗り+乾燥(漆の乾燥は水分蒸発ではなく、風呂というムロの中で漆と水分中の酸素を結合させる酸化重合)の時間を考え、油性の合成漆塗布で行う事にしました。当初は4回程度の塗回数で出来ると考えましたが、平面であるが故に塗りムラや磨き痕が目立つ事や、せめて表面だけでも鏡面仕上げに近づけたいと思う様になり、結局8回の塗りと最後の水研ぎを経て、天気の良い週末工作限定ということもあって4ヶ月掛って完成しました。
 釜敷は熱い釜を風炉や炉から外す際には必須ですし、釜据は釜を湯が入った熱い状態のまま洗う際には安全上必要な道具なので、機能優先の寸法や強度で仕上げました
 革細工に使う6ミリ幅の麻の葉文様の真鋳印があり、木の焼き印にも使えるらしいという事で、茶会に使う4寸サイズで調べた中では最大幅の6ミリ強のクロモジを、京都の業者向け飲食什器問屋から譲ってもらい、参加人数分を目指して焼き印作業しましたが、焼き方とギリギリ幅で手こずりました。成功率は半分強だったですが、それでも参加人数分は確保しました。参加者向けへの記念品として、最後に思いついたのが、六光星印付きの木製盃でした。開催まで1か月を切っていたので盃から作成することは断念し、荒削り状態の木製盃が手に入る事が判り調達すると共に、15ミリ幅の六光星の真鋳印を用意しました。最初は盃内側底を平らに削っての焼き印を考えましたが、木材が堅く時間掛ることから断念し、底面を平らにして焼き印し、底面で面積広がった事でゴム印日付も押す事にしました。仕上げは食器用ウレタン塗装を4回行って完成です。
 追善に使う献茶椀に、素敵な天目茶碗を使う事から台天目風のお点前設定にしましたが、流派の定義からすると合致しない道具組になっていますが、道具持ち寄りという制約の中で偲ぶという目的を主にしての会という事でお許しを。茶会の運営役として必要な、点て出しやお運びの方々は水屋方となり茶会の席を温める事は通常少ないですが、本会は全員で故人を偲ぼうと席を設け、自席で菓子やお茶を戴く設定にしました。このため、茶入れを2本用意して、点前席でこれらの方々のお茶を点てたという事です。色んな意味で手作りの茶会でしたが、参加者の皆さんは満足された様子で良かったです。

追善茶会のために、白竹、黒柿、ゼブラウッド、紫檀、パープルハートの茶杓を削る
追善茶会のために桜材で瓢箪茶入を木工旋盤無し環境で製作

 

作者紹介

作者名(ニックネーム)
sarusuberi
年齢
60代
木工歴
6~11年
お住まい
東京都
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