どこでも野点、旅箪笥に全茶道具を一式 提げ茶箱の第2弾 携行用の風炉、超小型コンロとタンク付き水指


作品紹介

作品名
どこでも野点、旅箪笥に全茶道具を一式 提げ茶箱の第2弾 携行用の風炉、超小型コンロとタンク付き水指
材質
杉 檜 桂 白漆 蜜蝋 柿渋
使用した道具
トリマル君 ドリルスタンド
作品コメント
 豪華な茶箱や茶籠の説明で、「これに湯があれば抹茶が点つ」と示される事がありますが、逆に湯が無ければ茶は戴けません。そのレバタラの「野点用湯沸かし資機材」の主題が浮かびました。更に今春の旅箪笥の点前から、湯沸かしや水や菓子含めて全部を屋外にヒョイと持ち出せて、捨て水は持ち帰えられる様になったら良いなと私流に考え、提げ茶箱の第2弾として箱設計しました。(旅箪笥は棚物で定義上は茶箱ではないですが、お許しを。また棚点前には道具の機材等の「決まり事」が色々あるのですが、携行用という事でお目こぼしを)
 拙作の湯沸かし付きの5組の茶箱、『山料理と野点の茶箱』『曲げに仕組んだ茶箱』『自転茶箱』『遊山箱から提げ茶箱』『掌に載る茶籠』では、コンロが剥き出しだったので趣と風防を考え、LOGOSのカマドCHAを改造した小型の風炉を使う事にしました。カマドCHAの外見は涼炉に似た雰囲気があり、中に火器を仕込む開口工作を行いました。外側のアルミ筒(実測1.5ミリ厚)は順調でしたが、内側の炭受け(磁石効くので鉄製?、底部実測1.1ミリ厚)は手こずりました。
 火器は手軽さの点で優れる2種のガスバーナーと、趣を考え静穏なアルコールコンロ(アルスト)の、使い分けします。ガスコンロは、プリムスの100周年記念バーナーの、ステン板の自作ゴトクを外して持ってきました。また、イークッカーの専用バーナーはハンドル長くて使いやすいです。いずれもボンベ直径が6cmで、市販カセットボンベから注入です。アルストは本家トランギアそっくり版の休眠からの登場です。燃料入れ用の150ml丸スキットルと合わせて野口先生1枚でお釣りが来て届いた中華版ですが、ミニガスコンロ顔負けの火力と、炎調整板で弱火にして2時間弱の連続燃焼が可能と野点茶会にぴったり。これら3種コンロは、取り替えた(オリジナルのは炎が旨く当たらない)鉄線環の五徳上の鉄瓶に炎が最適に当たるよう、それぞれマグネット固定が出来る木製受台を用意しました。これら3種と比較用にコンパクトコンロ最強版(プリムス100周年ボンベIP9002+BRS-3000Tバーナー)とで、今回使用の鉄瓶での300ml沸騰燃焼試験を行ってみました。
 次は水の持ち運びです。『とらや菓子箱 運び水指』で用意した550ml密閉式水指と柄杓と蓋置きを、水次として430ml ブック型タンクを用意しました。ポリタンクは建水に貯めた清め水を持ち帰る時にも使います。これで合わせて約1リットルの水を持ち込めます。
 これらに加えて茶道具は、3客の焼き物茶碗と、茶入れ、棗、に加え、金平糖の入った振出や3人分の主菓子スペースと皮革製の平皿、アルスト用の燃料タンクや漏斗等も含めて、旅箪笥での濃茶と薄茶のお点前が正規の道具組みではありませんが、どんな場所でもそれなりに出来る様な資機材を用意しました。3段の引き出し棚で持ち運び、2段の中棚板でお点前を行う配置を考えました。
 茶入れは新作をして、桂や檜の水指等の製作残材を使って、瓢箪茶入れをトリマル君で2個切削しました。蓋も共材です。塗りは茶道師匠宅で拝見感銘した黄瀬戸茶入れの白色を真似て、白漆に挑戦しました。通常使う高湿気の風呂乾燥では白色が出せず、異なる配合の白漆で何回も塗り直して大気中での鈍足養生で、何とか今の色になってます。
 箱は旅箪笥を模倣して新造するつもりでしたが、蓋を止める独特の落とし込み引手金具が問題でした。小さいけれど細かな細工金物で、京都の金物商に問い合わせると予想を遥かに上回るお値段。止む無く金物取り外し狙いで、ヤフオク入手の中古のコンパクト旅箪笥が良い杉材だったので、一旦バラバラにして狙い寸法に改造し蜜蝋仕上げで、更にコンパクトな旅箪笥を作りました。点前用の中棚板に重ねて使う道具収納用引き出し棚板は檜板で作りました。仕上げは柿渋塗布で、不陸になる野点時の補助盆にも使います。普通の茶道の点前では水入りの水指を収めた重い状態での旅箪笥の持ち運びはまず無いでしょうが、本箪笥は総重量約7kgでの運搬になることから、通常の竹釘等では接合剛性が不足すると考えられたので、25ミリ長ネジでしっかり結合して隠しネジ処理しました。薄板材への長釘になるので鉛直精度確保のため、拙作の『鉛直ドリル台』活用です。点前で天板上に道具を載せる事や重量も考え釣り金具ではなく、幅広ベルトで包み吊り下げる形式にしました。これで、肩掛けで持ち運べて湯を沸かしてお茶を点て、清め水も持ち帰られる旅箪笥一式が出来ました。

登山で山料理と野点の両方が出来る茶箱
曲げわっぱからどんどん出して行くだけで湯も沸かせる野点茶箱
自転茶箱、ボトルケージに納まる自転車用茶箱をトリマル君で。ミニベロ(Dahon Dove)のフロントディレイラー、多段化の第2弾
遊山箱 湯沸かし道具や菓子を組んだ提げ茶箱 トリマル君で茶入れ、密閉タンク内臓の水指 どこでも野点
祖母形見の茶籠 超小型ガスコンロや携行水指含めて、どこでも野点の道具一式
スーパーLJ装備のミニベロ とらやの菓子用の組み立て式菓子箱を積んで野点へ 密閉容器内臓で水を持ち運べる水指も2種製作
道具3題 ①Tスロットトラック+ドッグホール付きトリマーテーブル ②電動ドライバー鉛直ドリル治具 ③円錐台切削用サークルカット治具

 

作者紹介

作者名(ニックネーム)
sarusuberi
年齢
60代
木工歴
0~5年
お住まい
東京都
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